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山本光輝さんのいろは呼吸書法

―― 「山本光輝さんのいろは呼吸書法で書初めを」という講習会が開かれました。山本さんは二七歳で植芝盛平翁に師事、三二歳で前衛書道に出会い、合気道と書道の融合「いろは呼吸書法」を創始しました。

 会場では、いろは呼吸書法の基本、「いろは」と「ひふみ」の意味、書から検出される波動、書にまつわるさまざまなご体験などを、スライドとともにご紹介いただき、のちに参加者のみなさんで書初めをおこないました。お話の一部を要約のうえご紹介します。

(2015年1月13日、東京ウィメンズプラザ)

                                                                 

 

 

 

 

 

 

 

★山本光輝さんのお話

 

 「書の呼吸法」には、四つの法則があります。(1)心身のリラックス。整体と関節の柔軟性。(2)身体中心線の確認、確保。(3)合理的(無理のない)身体運動。(4)呼吸法による氣のエネルギーの流出。 <心身のリラックス>についてですが、この書法の目的は、自然の法則に適応した心身の状態をつくりだし、人間本来の能力を発揮させることにあります。心の分野では「とらわれ」や「こだわり」を取り去ること。体においては、手首や肩の関節をやわらかくして力を抜くと、思考も柔軟になり、心の若さも活性化します。

 <身体中心線の確保>とは、背筋を伸ばし、ゆがみのない安定した体をつくり、重心丹田を確認することです。<合理的身体運動>には、外側からの肉体的な動きだけでなく精神的な力みをとることも大切です。書の呼吸法によって、心の緊張や体の力が抜けると、性格や体質も変わります。そして、<呼吸書法による氣のエネルギーの流出>を実践するうちに、気がついたら健康になっているということが起こります。

 私は1982年に個展を開いてからずっと、霊感のある先生方に「いろは書から高い波動が出ている」というご指摘をいただいてきました。96年ドイツでは、EAV(量子磁場共鳴分析器)で宇宙エネルギーの研究をしておられる歯科医師メリシュコ先生が、驚くほど強い波動が検出されたとご報告くださいました。

「いろは呼吸書法」では、呼吸を調え、心身をリラックスさせ、「いろは」を唱えつつ書くことによって、一音一音に宿る言霊と共振します。「神は言葉なり」といわれるように、人間が人間として存在するための基本は、「言葉」にあります。「いろは」「ひふみ」は日本語の原点であり、その48文字は昔から「神名(かな)」として讃えられ、一音一音が神の姿

であると考えられてきました。「いろは呼吸書法」をとり入れることによって、健康、環境、農業など、さまざまな分野で望ましい変化があったという報告が寄せられています。

 宇宙の生命法則は、「いろは」一音一音の言葉の働きを通して人々のエネルギーを高め、精神文明に回帰させて、いま危機にある地球を救おうとしているのではないか……、そんなふうに感じることもあります。

「いろはうた」は、神(天)から人に与えられた言葉とされ、日本語の根源を顕しています。由来には諸説ありますが、もとは国防のための霊的な唱文であったようです。「護国三部経」というお経のひとつ「金光明最勝王経」には、日本最古の「いろは」が、漢字の七文字区切りで記されています。歌としての「いろはうた」は、弘法大師の御作ともいわれます。七文字区切りのときは、音の並びに意味はありません。弘法大師は霊的な啓示を受けて、「いろは」を唱文として広めるために、覚えやすい七五調のうたに直したのかもしれません。

 言霊のちからは、言葉としてより、一音一音のエネルギーのほうが強いものです。言葉の意味を考えずに読むためにも、私は「いろは」を「歌」ではなく「唱文」と呼び、7文字で区切って唱えています。「いろはにほへと・ちりぬるをわか・よたれそつねな・らむうゐのおく・やまけふこえて・あさきゆめみし・ゑひもせすん」

「ひふみ祝詞」は、人が神にささげる言葉であり、数を顕しています。「いろは声聞」とは、ちょうど陰陽の関係にあります。有名な「日月神示」は「ひふみ神示」とも呼ばれ、神の言霊、大宇宙のすべての真理を顕しているとされます。そして、この神の啓示は、絶大パワーが秘められた言霊の配列であるともいわれます。「ひふみよいむなやこともちろらねしきるゆゐつわぬそをたはくめかうおえにさりへてのますあせゑほれけ」

私は以前、言霊について学んだとき、母音を体に響かせることによって、そのエネルギーと自分を一体化する技法があることを知りました。たとえば、「うーおーいー」という音には、先祖と自分が一体であることを意識する働きがあり、「あーえーいー」という音は、痛みの軽減や回復に効果があるとされます。ちなみに、「いろは唱文」も「ひふみ祝詞」も、母音は「い」「う」「お」「え」「あ」の順番に登場します。これは、時代が改革するときに起こる言霊ではないか、と感じています。

「いろは呼吸書法」においては、筆ペンではなく、あえて墨と硯を用います。墨を磨ると、魂が浄化されていくように感じられます。墨は、原子番号6という炭素でできていて、それは備長炭や竹炭とも同じです。炭が空気を浄化するように、墨は人の邪気を浄化するのかもしれません。墨を磨るとき、人の脳波はアルファー波になっていることが多いことは、

脳波実験でも証明されています。「いろは」は左回転、「ひふみ」は右回転で回しながら、「いろは」「ひふみ」を唱えつつ、ゆったりした気持ちで磨っていくと、墨液の中に宇宙エ

ネルギーが注ぎこまれます。墨を用いて邪気をきよめ、「いーろーはー」と声に出しつつ、言霊を感じながら書いていくと、無の境地になり、自分の体を通して、書の中にエネル

ギーがしみこみます。それが呼吸書法の原点です。

「いろは唱文」「ひふみ祝詞」にまつわる体験談はいくつもありますが、そのひとつをご紹介しましょう。

 12、3年前、私は「いろは呼吸書法」の教室で、弘前のリンゴ農家の方から「台風でリンゴが落ちるのを防ぎたい」というご相談を受けました。私は「いろは」と「ひふみ」のお手本を見せて、「畑の中で大きな声で何度でも読んでほしい。どこで切ってもいい、息が続くかぎり大きな声で読んでください」と助言しました。その方は、翌日から毎日「いろは」と「ひふみ」を唱え、リンゴの木や水道に書を結びつけたそうです。その年、台風が東北地方を襲い、リンゴが全滅したというニュースが入りました。ところが一週間後、その方から「うちの周りのリンゴ園のリンゴはみんな落ちたのに、うちのだけ残っている。不思議だから見に来てほしい」と連絡がありました。現地に伺うと、広い道沿いずっと捨てられたリンゴで山になっているのに、そのかたの農園だけたわわに実っていたのです。ほんとうに驚きました。4年前も東北のリンゴ農家は台風の被害にあったので、その方に電話で状況をお尋ねすると、「うちの農園はあのとき以来リンゴが落ちません」という答えが返ってきました。科学的な証明はできませんが、言霊は水を浄化し、土地を浄化するのだと思います。そこで、浄化された水を吸った木は、リンゴをたわわに実らせた

のでしょう。このように、「いろは唱文」「ひふみ祝詞」には不思議な働きがあります。

 竹内文献によると、本来の祝詞は、神のお名前だけを唱えていたそうです。いろは四八文字は、四八の神さまのお名前であり、これを声に出しながら書くことは、神おろしをしている、神さまと共鳴している状態といえるでしょう。

 霊感のある方たちからは、呼吸書法が始まると、会場の場の次元が変わるとか、ゼロ磁場ができるというご指摘を受けています。

――お話の後、会場のみなさんで書き初めをおこないました。心身を調え、深い呼吸とともに、「いろは」一音一音を神さまのお名前と感じつつ唱えて、書にしました。新春の集いにふさわしいひとときになりました。

 

 

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