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船戸崇史さん

大阪ワールド「つ・む・ぐ」 2015年1月18日  会場/マイドーム大阪 

(映画会と講演) 

ドキュメンタリー映画「つ・む・ぐ」に登場する船戸崇史さんのお話を中心にご紹介します。 

タイで紡ぎ、織られた「うさと」の服のファッションショーが船戸クリニックで開催されました。そのモデルとなった船戸クリニックの患者さんたちの思い、生き様、そして死を看取る船戸医師の真摯な姿が伝わってきます。

 

 

 

 

 

 

 

船戸崇史さんの講演 「健康な死」(一部抜粋) 

 患者さんが亡くなる時、私は引導を渡します。 

「引導を渡す」ということは、「あなたは死ぬよ」と言うことではありません。「楽になって良いよ、よく頑張ったね、」と言うことです。そうすると、本当に患者さんの肩の力がすうっと抜けていくのが分かります。そして、一日ぐらいで静かに逝かれます。 

 実は一番引導を渡してほしいのは家族なのです。 

 ご家族にその時期に入ったことを言い、私はこうお願いをします。 

 「今まであったことや過去に対してお礼を言って欲しい。あんなこと、こんな楽しいことがあった、と話してほしい。私が逝く時に迎えに来てねと言ってほしい。そして最後に、楽になっていいんだよ言ってほしい」 

 患者さんの方にも言います。実はこれは老人会に行ってお年寄りによく話す内容です。 

 お年寄りですから、皆さんご家族より先に逝くはずです。そこで先に逝かれる時にとても大事な仕事が残っていると伝えます。それは死ぬ前の適切なお別れの仕方で、逝く時に家族に言う適切な5つの言葉があるということです。これ以外は絶対に言ってはいけない。 

 1番目は「ごめんなさい」。何も悪いことをした覚えはないと思っても言ってほしい。男性は特にです。良かれと思ってしたことが人を傷つけているかもしれません。知らずに足を踏んでいるかもしれないけれど、踏まれた人は足の痛みを感じます。どこかで人に迷惑をかけているということは絶対あると思うのです。 

 2番目は「ありがとう」。これはみなさん分っていらっしゃる。これまでへの感謝の気持ちです。  

 3番目は「愛している」。愛していなくても愛していると言うのです。 

 4番目は「また会おう」。会いたくなくてもそう言って欲しい。昔はあんなに仲の良い夫婦だったはずなのに、また一緒になるなんて今はとても思えないと思っても、嘘で良いから言ってほしいんです。 

 そして、最後が、「さようなら」。 

 この5つ以外の言葉は言ってはいけないのです。 

 自分が亡くなった後、残された人は愛があればあるほど思うんです。どうしてあの時あんなことを言ってしまったのだろう。もっと早く気がついてあげればガンは治っていたのではないかと。愛があればあるほど自責の念にとらわれてしまうのです。亡くなった後で、周りから、良くやったよと言われても気持ち的には難しく、ご遺族のすっきり感はありません。一番ご遺族が楽になる方法がこの5つの言葉なんです。亡くなる方が「ごめんなさい」、「ありがとう」、「愛しているよ」、「また会おう」、「さよなら」と言って、そして、「先に行って待っているよ」とお別れして、死んでいただくことなんです。これで遺された人は救われます。 

 私の知っている方に、最後の死ぬ瞬間にガッツポーズを取って逝かれた方がいます。できることなら、みなさんやってください。 

 ガッツポーズをとって、私の人生は最高だったとファンファーレを鳴らしてみてください。こういう亡くなり方をした人のご家族は顔が違います。泣きながら、笑っています。悲しいけれど、痛みは軽い。こういう死に様を私は「健康な死」と言っています。ご自身が亡くなられる時、「健康な死」をプロデュースする一番のキーパーソンは自分なのです。 

 

 

 

質問コーナー 

「近藤誠先生の本に、ガンになって治療をすると命を縮めるという話があります。この『がんもどき理論』についてどう思われますか?」

 

 

 

 一部共感し、一部どうかなと思います。私は直接お会いしたことはありませんが、先生の講演を聞いたことはありますし、勿論著書は読んでおります。ただ本に関しては、マスコミ向けなのか非常に紋切り型で言われています。癌もどきという言葉は現在の西洋医学の中では一切ありません。 

 ただ、先生がおっしゃるような本当に「おとなしい」ガンと、あっという間に癌が進行してすぐ亡くなってしまうガンがあり、これは病理組織検査である程度判断できますが、それだけでは認識できないものがあります。私の患者さんでも、もう手遅れだ、あと数ヶ月だと言われて見えた方に何年もご存命された方がみえます。実際組織を調べても、今の西洋医学的には間違いなくガンです。それをガンもどきだと言われても検証するのは難しい。早く死んでしまったからガンなのだ、長生きしているからガンもどきなのだと言われても、これから先どちらになるか分からない以上、我々は予防的な意味合いをとって、しかるべき処置をします。ただ、私は抗がん剤に対しては大変注意を払っています。みなさん自身がかしこい患者さんになって欲しいと思います。もし皆さんがガンになったら、先生だったらどうするか、先生の家族だったらどうするか、と色々聞いたら良いと思います。そして、自分で選択できるような提示をしていただくのが良いのではないでしょうか。 

 ガンそのものが確固たるものではないと思っています。ハーバード出身のケリー・ターナーさんという患者でもないドクターでもない方がすごい本を書かれました。『ガンが自然に治る生き方』です。ぜひ読んでいただきたい。 

 これまではガンの権威の先生、あるいはたまたまガンをこういうふうに治したというブログ的な体験談的な内容ものしかなく、客観的なデータに欠けていました。この本には1000件以上のステージ4(西洋学的には進行ガンの手の打ちようのないステージ)から治った、あるいはガンが見えなくなったという事例と、そういう方の100人以上の方のインタビューを通して、どういう生き方をしたのか、全員が何をやっていたのか、それらを簡単に9つのこととして提示してあります。 

 この本を読むと、進行ガンは治るということが証明されつつある時代に入ったというのが分かります。私自身ガンを体験していますが、やっとデータ的に出されたなと感慨深いです。私のホームページ(フナクリの「コラム」、http://funacli.jp/collumn/history.html)、『新癌治療元年』に紹介しましたのでご覧下さい。イントロだけでも分かると思いますが、ぜひ本を購入されることをお薦めします。 

 

文責 山崎佐弓 

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