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天外伺朗さんの瞑想断食会の質疑応答

 毎回好評の天外伺朗さんの瞑想断食会がおこなわれました。参加者との質疑応答の一部をご紹介します。(2017年7月22~24日)

Q 瞑想に適した姿勢はありますか。

―― どのような姿勢でも瞑想に入ることはできますが、本格的に瞑想する場合は、坐禅のように仙骨を立てる姿勢が望ましいです。仙骨と背骨のつながる箇所には角度があるので、仙骨が寝ている状態で座り続けると、腰をいためてしまい
ます。
 ぐっすり眠っていても寝返りを打つように、人はふつう無意識のうちに体を動かして、体に負担のかからないようにしています。しかし、瞑想中はベータエンドルフィンというホルモンが分泌され、モルヒネの50倍の麻酔作用があるため、体の悲鳴に気づきにくくなります。瞑想のときは、体をいためない姿勢をとることがたいせつです。

Q 断食するだけでなく、断食しながら瞑想すると宿便が出やすいのはなぜですか。

―― 瞑想断食を指導している野口法蔵さんは、宿便を出すには坐禅が必要とおっしゃっていますが、生理学的な説明は聞いていません。
 瞑想すると代謝が落ちて、おなかが減らなくなり、眠くなります。以前、ぼくは代謝と宿便に関係があるという仮説を立て、代謝を落とす瞑想を中心に指導したことがあります。参加者の宿便は増えましたが、代謝を落とし過ぎるとだるくなり、続きの瞑想に参加できなくなります。
 そのうち、代謝が下がらない瞑想でも、宿便を増やせるようになりました。 仏教の歩く瞑想「経行」と、西野流の「足芯呼吸」と、ヨーガの「ファースト プラナヤーマ」を組み合わせた歩く瞑想や、「六字訣瞑想」という声を出す瞑想では、 代謝は落ちませんが、宿便がたくさん出ます。どうやら、代謝が落ちるから宿便が 増えるのではなく、瞑想そのものに宿便の量を増やす作用があるようです。
 ちなみに、脱水症状と宿便の排出にも、関連があるようです。若い頃、ぼくはテニスをしていて脱水症状になることがありました。当時は、血が薄まって体がだるくなるから水を飲むな、と指導されていたのです。
 ボールがとんでもない方向に飛ぶほどフラフラになると、健康的な便が出てから腹痛を起こし、その後、真っ黒な便が出ることが何度かありました。のちに気づいたのですが、宿便が出ていたのです。
 ただし、脱水症状は脳梗塞や心筋梗塞を引き起こす可能性があり、非常に危険なので、故意に起こしてはなりません。

Q お経は、ただ唱えることに意味があると思っていましたが、蓮如上人は「意味もわからず唱えてはだめだ」と語っています。天外さんはどうお考えですか。

―― 蓮如は理屈っぽいところがありますね。「おふみ」はまさにそんな印象です。唱えるだけで効果がある言葉を「マントラ」といい、南無阿弥陀仏、南無妙法蓮華経、アーメンなどが知られています。
 ここで実演してみましょう。左手にタバコをもち、右手でOリングを作ってください。Oリングを引っぱって、指がすぐ離れてしまうのは、そのタバコがあなたの体によくない、という意味です。
 では、「南無阿弥陀仏」を10回唱えてから、再びOリングを引っぱってみます。・・・あまり変わりないかな?・・・では、稲森和夫さんのマントラ「なんまんなんまん、ありがとう」を10回唱えてください。・・・今度は力が入って、Oリングが開きませんね。これがマントラの力です。
 稲盛さんは「盛和塾」という雑誌で、JAL再生が成功した要因は、アメーバ経営がどうのというより、実はマントラの力によるものだ、と書かれています。稲盛さんは小学生の頃、お父さんに連れられて隠れ念仏のお坊さんに会い、「なんまんなんまん、ありがとう」というマントラを授かりました。子どもの頃から唱えているので、稲盛さんにとってこのマントラは、さらに強力な効果があるのです。

 マントラの力は、ぼくも体験しています。以前、自民党の衆議院議員が20人くらい集まる会で、ブレーンを引き受けたことがありました。
 グリーンピース日本代表を呼んで、民主主義のルーツを話してもらったり、ブータン首相を呼んで、GNHについて講演してもらったりしましたが、自民党議員さんには不評で、20人のグループが6人に減りました。
 議員さんたちの関心事は、ただ次の選挙に勝つことだけだったので、ぼくは6人の一人ひとりに、その人に効くマントラを選んであげました。そして2009年の衆議院選挙で、自民党議員3人のうち2人が落選しましたが、マントラを教えた6人のうち、落選したのは1人だけだったのです。

 このように、マントラには大きな力がありますが、ぼくはエゴの望みを実現するためにマントラを使うことは、お勧めしません。Oリングの実験でもわかるように、指に力が入らないのは、体が毒を認識した証拠です。マントラを唱えると、指に力が入ってしまうのは、その正常な身体機能が妨げられているのです。
 世の中では、成功法則や引き寄せの法則が流行っていますが、やめたほうがいいでしょう。もっと、宇宙の流れに従って生きたほうがいい。うまくいかないことじたいが、宇宙のシナリオかもしれません。うまくいかなかったら、うまくいかないところから、生きていけばいい。
 成功法則を信奉してビジネスが順調であっても、私生活は破たんしている経営者を、ぼくはたくさん見てきました。心にひずみがあると、そのひずみは、体、心、人間関係、家族など、どこかに必ず現れます。表面的なところでごまかすのではなく、もっと根本的なところを見る必要があると思います。

 

 

人は、成功したら幸せになるのではありません。成功していて幸せな人もいれば、不幸せな人もいる。成功していなくて幸せな人も、たくさんいます。
 幸せになるために成功を目指す時代は終わりました。アメイジング・グレイス(恩寵)を受けとることは、成功することではありません。
 ニューヨーク大学病院リハビリセンターのロビーに掲げられている、ある患者さんの詩をご紹介しましょう。


    神の慮(おもんばか)り (意訳 神渡良平)

  大きなことを成し遂げるために
  力を与えてほしいと
  神に求めたのに
  謙虚さを学ぶようにと
  弱さを授かった

  より偉大なことができるようにと
  健康を求めたのに
  より良きことができるようにと
  病弱な体を与えられた

  幸せになろうとして
  富を求めたのに
  賢明であるようにと
  貧困を授かった

  世の人々の称賛を得ようとして
  権力を求めたのに
  得意にならないようにと
  失敗を授かった

  求めたものは一つとして与えられなかったが
  願いはすべて聞き届けられていた
  言葉に表されていない祈りが叶えられていたのだ

  ああ、私はあらゆる人の中で
  もっとも豊かで祝福されていたのだ

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

Q エゴを実現する手段としてマントラを使うのは、問題があるということですね。では、エゴを開け放して、宇宙の流れにお任せして生きるとき、マントラを唱えることには、どんな意味があるのでしょうか。

 浄土真宗の信徒で、無学な下駄職人だった浅原才市は、「なむあみだぶつ」と唱えるうちに、悟りの境地に達したと伝えられています。浄土真宗では、才市のように悟りを開いた市井の篤信者を「妙好人」と呼んでいます。
 才市はマントラを唱えながら、阿弥陀如来を観想することによって、意識の変容を起こしたのでしょう。エゴの目的のためにマントラを使うのではなく、阿弥陀如来に明け渡すためにただひたすらマントラを唱えるのは、すばらしいことだと思います。

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