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天外さんの講演録(2018年2月16日~2月18日の瞑想断食会)

 天外伺朗さん指導の「座禅断食会」。断食に瞑想を加えることによって劇的な体調の変化を感じやすく、リピーターも多い合宿です。今回も山梨のすばらしい環境の中で、2泊3日の7食断食をおこないました。質疑応答の一部、皆さまのご感想をご紹介します。
「天外伺朗さん坐禅断食会」2018年2月16日~18日 保健農園ホテル フフ山梨

★断食後の注意点
―― 断食直後は、体の宿便も心の宿便も出てとてもいい状態にあり、免疫力が上がって、血中のグリコーゲンが倍量流れています。ただ、とても敏感になっているため、お医者さんが予想できない状態になることがあります。酒豪の人が断食直後にビール一杯飲んで悪い酔いしたという報告もあります。普段とまったく違う状態になっているので、いくつかの注意事項については厳密に守っていただきます。
 断食後の1週間は、アルコール、タバコ、肉類は禁止。なるべく朝食はとらない。乳製品と甘いものは少なめに。断食後3日間は、バター、ジャム、油、魚、卵、香辛料、カフェインの含まれるコーヒーやお茶、炭酸飲料、パスタ、玄米、もち米、ナッツ類、生のパイナップル、和洋菓子などは禁止。食品添加物に反応して蕁麻疹や嘔吐を起こすことがあります。

その他の控えるべき食品や注意事項は、お手元の資料をご覧ください。
―― 断食後の食事制限には、三つの理由があります。一つ目は、胃腸が敏感になっているので、健康に被害を及ぼす食べ物を避けるため。二つ目は、エネルギーが高すぎるものを避けるため。ハイになっているところにエネルギーが高いものを食べると、ハイの状態が長引いてしまいます。

自分の状態を観察して、怒りっぽくなっていないか確認しながら、少しずつ制限を解いてみてください。
 三つ目の理由は、腸内細菌を調えるためです。断食するとそれまでの腸内細菌がいったん流れるので、推奨されている食事内容を守ると、腸内細菌が好ましい状態に調います。腸内細菌によって、性格や食べものの好みも変わります。断食の後、好みが変わる人が多いのは、腸内細菌がその人の健康維持にとって必要な方向に変わるからです。
 断食の効果を定着させるには、食事制限を厳密に守っていただかなくてはなりません。
―― 断食後は陽の排毒が起きるため、排毒のための湿疹が出ることがあります。活力が高まり、寝ないで仕事もできますが、やめてください。今は覚せい剤を打ったような状態です。自分で作った脳内麻薬なので、薬品の覚せい剤のように悪さはしませんが、活力に任せて無理をすると後でがっくりきます。1週間はセーブして、仕事もさぼり気味がいいでしょう。
 また、活力が高まるのと同時に、怒りっぽくなります。怒りとどう付き合うかは、人生の課題です。最悪なのは、気づかないうちに怒りを抑圧することです。
「怒ってはいけない」と、怒りに気づきながら抑圧するのは、まだましです。怒りを抑圧しているといずれ大爆発を起こし、社会性を失うことになりかねません。
 最も望ましいのが、怒りをしっかり感じ、「自分は怒っている」とメタ認知したうえで、表出するかしないかを自分で選択することです。怒りを表出するときも、「怒りを表出している」というメタ認知ができていると、上手にコントロールできます。メタ認知には、「鳥の瞑想」(*後述)が効果的です。

★天外さんに質問コーナー
 「瞑想中いろいろな思いが浮かんだり消えたりしますが、瞑想が深まるとどうなりますか」
―― 雑念が浮かぶのは仕方ないことで、雑念が出たらダメというわけでもありません。雑念を眺めることで自分のネガティブなものを引っぱりだす、「雑念を見る瞑想」もあります。いい悪いは考えず、淡々と瞑想するしかありません。
 禅宗には「数息」といって、瞑想中に息を数えることを教えます。雑念が出て息を数えるのを忘れたら、そう気づいた時点でまた息を数える。ただそれだけです。
 瞑想中に起きることは必要だから起きるのであって、ただ受け入れるだけ。何が起きても定期的に瞑想していると、プロセスはひとりでに進みます。
 「断食瞑想すると出るという宿便は、どうしたら見分けられますか」
―― 最初の2,3回の便の中に、黒っぽいものがあったと思いますが、それが宿便です。豆粒のような形だったりドロッとしていたり、色は黒いことが多いです。

独特の匂いがあるので、慣れてくるとすぐわかります。
 宿便は小腸にこびりついている便が剥がれたものです。ふつうの断食だけでは、脱水症状にならない限り宿便はなかなか出ません。断食後に梅湯を飲めば下痢をしますが、宿便とは限りません。しかし、断食瞑想して梅湯を飲むと、宿便は必ず出ます。宿便を出すには、瞑想して変性意識状態になることが大切なようです。
 初心者は声を出す瞑想のほうが深い瞑想に入りやすいのですが、ベテランは声を出すと一定以上の深さには入れません。そこで声を出す瞑想を嫌うお坊さんも多いのですが、仏教にも声を出す瞑想はあります。真言宗には、「阿」を表す梵字をイメージする「阿字観」とともに「阿息観」という声を出す瞑想があります。
また、チベット密教を大元とする「倍音声明」も、声を出す瞑想です。
 ぼくが指導する断食瞑想では、声を出す瞑想をしてから静寂の瞑想に切り替えることによって、初心者もベテランも深い瞑想状態に入れるようにしています。
 「断食瞑想は子どもも参加できますか」
―― ぼくは7歳までは控えて、小学生の間は気をつけたほうがいいと考えています。若い人は代謝が激しいので、断食は辛いと思います。
「自分を客観的に見る瞑想をしていたら、書店に行っても読みたいと思う本がなくなりました。世の中に対する興味をなくしたのかと思います」
―― 本が読みたくなるのは、手掛かりがほしいという葛藤の表れですから、それがなくなったのはすばらしいことです。メタ認知(自分を客観的に見ること)
ができれば、葛藤は解消します。目の前の現象にとらわれず、離れて見られるようになると、日常の景色も変わってきます。
 ご家族の問題でメタ認知が必要になった塾生のために、ぼくは「鳥の瞑想」を発明しました。これは、自分の右後ろ3メートル以上離れたところに鳥が飛んでいて、客観的に中立に冷に、善悪の判断をしないで自分を見ている、と観想するものです。
 その鳥は「起きることがただ起きている」という視点で、トラブルが起きても「トラブルが起きましたね」、金メダルをとっても「金メダルをとりましたね」と、動揺も喜びもなく、少し距離を置いて、ただ眺めているだけです。心がわさわさ動いたら、そういう自分を見ている鳥がいる、とイメージするのです。
 「鳥の瞑想」を実践した塾生は、ご家族の問題がすべて解決しただけでなく、世の中の見え方が根本的に変わったそうです。「電車のいちばん前で運転手ごしに目の前の景色を見ていた生き方だったのが、鳥の瞑想をしたら、三両目ぐらいに移動して全体を眺める感じになった」という感想をいただきました。
 葛藤を解消するには、葛藤している相手を対象に瞑想することが多いのですが、その方は、鳥の瞑想だけで意識の変容を起こし、葛藤を解消しました。
 ちなみに、ニューコードNLPにも、同じ趣旨の「クリアな第三ポジションを獲得する」というトレーニングがあります。第一ポジションは自分、第二ポジションは相手、そして自分も相手も客観的に見るポジションを「第三ポジション」と呼んでいるのです。
 NLPでは、ジャグリングも推奨しています。ジャグリングやお手玉をすると古い脳が活性化することは、理論的にも説明できます。上手になると効果がないのですが、まだ下手なときにお手玉に集中すると、うつ病にも効果があります。
熊本には、精神的な病をお手玉で治すお医者さんがいるそうです
「祈る力が強い人は人生が大変になるといいますが、霊感が強い人も人生が大変になるのでしょうか。マイナス面があるなら、引き換えにプラス面もあるのでしょうか」
―― マイナスがあればプラスがあるというロジックは持ち出さないほうがいいでしょう。大変な人生もあれば、楽な人生もある。そのまま受け取るしかありません。人はそれぞれ自分の人生を歩んでいる。与えられた人生をきちんと味わうだけです。
 なお、祈りの力と霊感はまったく別のことです。たとえば、瞑想ワークを使って変化を起こすには普通1か月近くかかりますが、数日から1、2週間で劇的に変わる人もいて、そういう人が祈りの力の強い人です。
 しかし、自分の願いが実現してしまうのは、危険なことでもあります。一人ひとりが宇宙を創っていて、内なる宇宙を調えれば外側の宇宙も自然に調います。
ところが、「試験に合格したい」というようなエゴを祈りの力でかなえてしまうと、自分の創る宇宙に何らかのひずみが生じて、思いがけないところに影響する可能性があります。
 ある経営者さんは、お経をあげながら「会社から邪魔な人がいなくなるように」と願ってしまいました。その人物は会社から去りましたが、そのとたん本人が脳梗塞で倒れたのです。「自由にマネージメントできるようになり、会社がよくなりますように」ではなく、「邪魔な人がいなくなるように」と祈ったため、ひずみが出てしまったのです。
 伊勢神宮の宮司さんはこの原理をよく理解していて、選挙前に議員が参拝に来ると「当選しますようにと祈らず、日本の国にとってよきことが起きますように、と祈ってください」と指導するそうですが、自分のことを祈ってしまう候補者が多いそうです。
 ぼくはインディアンから聖なるパイプを授けられた祈りのプロですが、お師匠さんから「このパイプをもって祈ると、すべて実現する。とても危険だから、このパイプをもったときは感謝の言葉以外は口にするな」と教えられました。感謝の祈りほど強力な祈りはありませんし、それで充分です。

 

★皆さまのご感想
「身体や食生活のバランスの崩れが、精神面にも影響していると思い、合宿に参加しました。合宿中は薬をのみませんでしたが、瞑想をクリアするたびに気持ちが落ちついて、三回目の瞑想では、全身の一粒一粒の細胞と会話できたと感じました」
「『天に明け渡せ』という言葉が、ずっと響いていました。この3日間で、心、体、マインドのリセットができたと思います。感じること思うことを素直に実践していけば、道が拓ける・・・そう考えている自分がいると思います」
「前回は2日目に頭痛で寝こみましたが、今回はそこまでの辛さはありませんでした」
「六字訣」(それぞれの臓器に対応する音を響かせて、内臓を活性化する気功)を唱えるとき、臓器と声が共鳴するのを感じました。静寂の瞑想では、幼いときの鮮明なイメージが浮かんで涙があふれ、声が出そうになりました」
――(天外さんコメント)瞑想中に涙が出るときは、抑えないで泣いたほうがいいです。ニューエイジ系では、瞑想中の涙はハイヤーセルフに接触している徴とされます。
「深い瞑想に入って心地よかったです。とらわれず楽しんで受け入れるという感覚でした」

「これまでの断食瞑想では二日目から吐き気がしていましたが、今回は二日目の夜中に吐き気で目覚めた他は強い吐き気はなく、今までの中では楽でした」
「飲尿療法をしながらの断食だったせいか、元気に過ごせました」
「体をいたわることを意識して取りくみ、なるべく体を冷やさないように気をつけて過ごしました。『六字訣』では内臓に感謝しながら声を発し、静寂の瞑想は脳をリラックスさせる感じで取り組みました。三日目の朝の瞑想は気持ちよくて、やめたくないほどでした。脳の前面の左右片方ずつのパーツにサブイボが立った感じがしました。皆さんの声が共鳴して、ふわっと舞い上がる感覚が最高でした」
「二回目の参加ですが、前回よりは楽で、すべての瞑想に参加できました。声を出す瞑想から静寂の瞑想に入ると、雑念が出てきました。今朝の瞑想は、ふだん自分でおこなっている瞑想より深く入れました」
「何度も参加していますが、これほど元気だったのは今回が初めてです。声を出す瞑想や般若心経では、包まれている感じがしました。心地いい三日間でした」
「一日目は精神的に弱っていたこともあってか、涙があふれるような、セラピーのような感覚でした。声を出す瞑想は笛の音が聴こえるなどして楽しいのですが、静寂の瞑想に入ると足が痛くなります」
――(天外さんコメント)足が痛くなるのは、腰骨が立っていないからです。仏教で瞑想のとき椅子を禁止するのは、腰骨が寝た状態で瞑想して腰をいためるのを防ぐためです。ある程度高さのあるものを下に敷くと腰骨が立つので、試してみてください。
「今回は6回目の参加で、場の雰囲気がよく瞑想に入りやすかったです。歩く瞑想では不思議な体験をしました。断食後の三日間は、体が求めるものを食べることを意識してみます」
「4回目の参加ですが、私は体調を崩したことはありません。前回は内臓や頭を意識しようとしていましたが、今回はあまり考えずに瞑想しました。静寂の瞑想のときは眠ってしまいました。深い瞑想に入ったとき、『ただここにいればいい』と感じました」
「声を出す瞑想で声が体に響きわたると、体がゆるみ、悲しみの涙ではなく、生理現象として涙が出ました。気持ちよかったです。瞑想中は、雑念が湧きあがるか眠りこむかのどちらかでした。寝てはいけないと思うとろくな考えが浮かばないので、『寝てもいい』と言われてよかったです」
――(天外さんコメント)瞑想中の涙のほとんどは、情動と無関係に出てきます。瞑想が一定の深さに入ると涙が出るのであり、涙は超越状態に入る入口でもあります。
 瞑想の初心者は、睡眠と超越状態の区別がつきません。自分では寝ていると思っていても、超越状態に入っていることがあります。特に、涙が出た後に眠ってしまったと思ったら、おそらく超越状態に入っています。寝ないようにがんばってしまうと、せっかく超越状態の入口まできているのに、浅いところでうろうろしてしまいます。
 瞑想中は、眠りこむこともあれば、超越状態に入ることもある。その二つは瞑想の初心者もベテランもコントロールできません。すべてのコントロールを手放し、なりゆきまかせにするのがいいでしょう。
「前回の倍以上の便が出ました。12回くらいのうち、最初の5、6回はふつうの便で、その後は水でした。すっきりしました」
――(天外さんコメント)宿便が出ると最後は水になります。水分をとってください。
「今回は体調が最悪でした。脈も血圧も正常なのに、脈が速くなり血圧が下がっているように感じました。疲れがたまっていたからかもしれません。便は、見た目はふだんと同じでしたが、ゴマ粒のようなものが付いて臭かったです」
――(天外さんコメント)宿便は黒くないこともあります。見た目より匂いのほ
うが判断できます。

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