佐藤青児さんの講演録 

 4月12日(木)のナイトサイエンスは、歯科医師の佐藤青児さんをお迎えして

「超微弱刺激で健康増進!」をテーマにご講演いただきました。顎関節の症状を

和らげる治療の一環として考案された「さとう式リンパケア」は、あごの関節運

動を利用して、口腔から身体全体をゆるめ、リンパの流れをよくし、循環障害を

改善していきます。

 ケアの特徴は、そっと触れたり、周囲の筋肉を揺らしたりして、全身をゆるめ

ていくことです。簡単なテクニックで、肩こり、腰痛、耳鳴りなどが軽くなり、

美容にも効果があります。このケアをとり入れる歯科医院、治療院、エステティッ

クサロンも増えており、海外でのセミナーも始まっています。

 講習会では、実演を交えながら手技を指導いただき、楽しくてためになるひと

ときとなりました。(2018年4月12日、東京ウィメンズプラザ視聴覚室)

 

佐藤青児さんプロフィール: 愛知学院大学歯学部卒業。同大学歯科口腔外科専

攻。歯科麻酔科助教、市立岡崎病院救急救命センターでの研修、小牧市稲垣歯科

勤務を経て、月見歯科クリニックを開業。著書に『「耳たぶくるくる回し」で

“顔のしわ”は消せる!』『輪ゴム一本で身体の不調が改善する!さとう式リン

パケア』『「さとう式リンパケア」で肩こりをすっきり改善』『アゴをゆるめる

と健康になる』など。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―― 「さとう式リンパケア」の基本は、次の三つです。

 第一に、人体は腔(くう)で構成されていること。人体には、口腔・胸腔・腹

腔という空洞があります。その筒状の空洞を広く保てれば、内臓は活発に働き、

健康も美顔も美ボディも手に入ります。人体には、軸や重心はありません。ない

ものを無理に作ろうとするから、ずれてしまうのです。

 第二に、支持筋は屈筋であること。筋肉には「屈筋」と「伸筋」があり、関節

を曲げると「屈筋」、伸ばすと「伸筋」に力が入ります。かたくなった筋肉が拮

抗する中でねじれてしまうと、姿勢が崩れて、体にトラブルが生じます。

 第三に、痛みを和らげるには、筋肉をゆるめること。筋肉が縮まって動かなく

なると、体液(リンパ間質液)の流れが悪くなり、老廃物が排出されなくなりま

す。さらに、筋肉が張ると、筋膜が引っ張られて、痛みとして感じられるように

なるのです。

 

―― 「さとう式リンパケア」では、「押さない。揉まない。引っ張らない」を

基本に、筋肉をゆるめていき、困った症状を和らげます。さらに、「重心を作ら

ない。肩甲骨を寄せない」という、従来の常識とはかけ離れた指導をしています。

 筋肉は、ストレッチのように「収縮と伸展」させると、いたんでしまいます。

大切なのは、「収縮と拡張」です。

 イモリなどの爬虫類は、体の一部を縮め、そしてそれを伸ばすことによって、

前に進みます。決して、前のほうから引っぱっているわけではありません。背筋

を伸ばすときは爬虫類の動きを参考に、後ろに引っ張るのではなく、前を伸ばし

ていくと、腰をいためないですみます。

 

 ・・・(実演)多くの場合、前に倒れそうになると、後ろ側に引っ張る力を加

えて、耐えようとします。しかし、前の筋肉を拡張させるように動かし、つっか

え棒にしたほうが、より力が入ります。

 古武術では、力を抜いて相手の皮膚を少しずらすだけで、楽に相手を起こすこ

とができます。この体の使い方を覚えると、介護にも役に立ちます。

 首がこったり、頭が重くなったりするのは、首の後ろ側の筋肉が、過緊張を起

こしているからです。すると頸椎まで引っ張られ、脊柱まで歪んで、痛みが出て

きます。首の後ろの筋肉の過緊張をとれば、症状はすぐに和らぎます。

 猫背の人は、肩甲骨を寄せて姿勢を正そうとしがちですが、肩甲骨を寄せると

深い息が吸えなくなります。手を開いて、息を吸い、息を止めて、だらんと手を

返すことで、姿勢は自然によくなります。・・・

 

―― 弱い刺激は、人体に大きな影響を与えます。「さとう式リンパケア」の

「耳たぶ回し」は、きつく揉むのではなく、そっと撫でます。

 歪みを直そうとして強い力を加えても、体はすぐもとに戻ってしまいます。筋

肉を揉むと、かえって硬くなります。いっぽう、弱い力で、皮膚を軽く引っ張る

と、皮膚と筋肉の間にあそびができて、気の流れがよくなります。

 揉むなとはいいませんが、揉んだら必ず、最後はゆるめるようにしましょう。

夫婦げんかしたら仲直りしましょう、というのと同じです。

 

 ・・・(実演)耳に紐をかけて、耳元が1、2ミリ上がるくらいの弱い力で引っ

張ってみましょう。肩こりが和らぎ、体が楽になっていくでしょう・・・

 

―― 細胞と細胞のあいだの空間を間質といい、これまでは単なる空洞と思われ

ていました。しかし、ニューヨーク大学の研究によって、間質には水をためて循

環させる機能があることがわかってきました。

 人体のほとんどは水分でできています。大切なのは、流れをよくすることなの

です。

 体に痛みが出るのは、「助けてくれ」という信号です。いわば、川が危険警戒

水位を越したことを告げているので、やみくもに止めてはいけません。大切なの

は、川幅を広げて、水があふれだすのを防ぐことです。

 一つの痛みを逃すと、別の痛みが始まって、まるで痛みが移動したようになる

ことがあります。つまり、ある場所で洪水を防ぐために川の水を流したために、

下流の水位が上がって警報が鳴ったということです。

 このとき警報は止めずに、川の水をさらに流していくことによって、よりスムー

ズなフローを作っていくことが大切です。

 

―― ほとんどの人が、体は脳からの命令で動いていると考えていますが、実は

そうではありません。脳には大きなサーバーがあるだけで、体じたいの神経ネッ

トワークがメインになって、体を動かしているのです。

 たとえば、心臓には自動性がありますし、自律神経も自立した神経ネットワー

クです。脳にはアプリが入っているので、アプリがなければ動かないと思われが

ちです。しかし、「頭なしニワトリ・マイク」と呼ばれて有名になったニワトリ

は、頭が切り落とされても18か月生きていました。

 「腹が立つ」「胸が苦しい」という表現からわかるように、感情は体にありま

す。脳はネットワークの一部として、記憶と分析を担当しているだけです。感情

をつかさどる体において、「腹が立ち」「はらわたが煮えくり返る」と、それが

頭に伝わって、「頭にきた」ということになります。

 脳の命令によって体を動かすトップダウンではなく、神経ネットワークからの

ボトムアップの状態をつくり、脳と神経ネットワークの連携がとれるようにする

と、体調はしぜんに調っていきます。

 神経ネットワークが連動して、筋肉のつながりが意識されるようになれば、圧

倒的な力が出るようになるので、スポーツでも成果が上がるでしょう。

 

―― 最近、私がおもしろいと思っているのは、フィボナッチ数列と「さとう式

リンパケア」の共通性です。フィボナッチ数列とは、最初の二項を1として、第

三項以降の項をすべて直前の二項の和とする数列のことです。つまり、1,1,

2,3,5,8,13,21,34,55,89・・・と続きます。

 フィボナッチ数を一辺の長さにした正方形を並べて、曲線を書くと、渦巻きの

形ができます。これは、オウムガイ、台風、宇宙の渦巻きと同じです。

 さらに、フィボナッチ数列を9進法で表すと、おもしろいことがわかります。

1,1,2,3,5,8までは同じで、5+8は13を9引いて4、8+4で1

2を9引いて3、4+3は7でそのまま、3+7で10を9引いて1、7+1は

8、8+1は9を9引いてゼロ・・・とすると12個を1セットとして循環しま

す。

 

―― 12は基本の単位として生活でよく使われ、12で循環するものといえば、

時間が12×2、1オクターブの白鍵黒鍵が12個など、多くあります。

 カタカムナは、12×4の48音であり、「かたかむなひびけまのすべ」つま

り「間(ま)の術(すべ)」とも呼ばれます。これは、「さとう式リンパケア」

が、細胞と細胞の間(ま)、筋肉の束と筋肉の束の間(ま)を広げていることに

通じます。

 フィボナッチ数列、カタカムナ、そして「さとう式リンパケア」は、宇宙の真

理の表現として、共通性があるように思います。

 

―― 「さとう式リンパケア」では、人体を腔(くう)と考え、空気が入ってい

る胸郭の部分を広げていきます。胸郭では、心臓は心拍によって振動し、胸は呼

吸によって振動しています。心肺が独自のリズムで振動することを生命といい、

心臓と肺が止まることを死亡といいます。

 一つひとつの細胞を見ると、細胞を構成する原子は、外側に電子、内側の原子

核に中性子と陽子があります。中性子と陽子は雲のように振動していて、その状

態は原子核エネルギーと呼ばれます。つまり、原子核エネルギーは、電子【の軌

道?】というお宮に入っている、神さまのようなものです。

 古事記では、神さまをミコトと呼びますが、ミコト=命とは、まさに振動する

ことそのものです。腔(くう)の中にある外宮が振動し、内宮が振動することを、

宇宙といいます。私たちの細胞も、筋肉も、体も、すべて宇宙と相似形になって

いるのです。

 

―― 超古代史には、日本の縄文時代より前に、人々が三種の神器をもって中東

にわたり、そして再びもち帰ってきた、という説があります。八咫鏡(やたのか

がみ)が二つに割れたものがユダヤの石板、草薙の剣がアーロンの杖、勾玉を入

れる容器が聖杯となったのではないか、と言われています。

 その後、大陸から弥生人が到来したことによって、一部の縄文人は沖縄と北海

道に逃れ、のこった縄文人は弥生人との混血が進みました。

 三種の神器のうち、勾玉は胎児または精子をかたどると言われます。勾玉を聖

杯に戻したとき、つまり、胎児が子宮に入ったとき、すべての宗教がひとつにな

り、争いは終わるという予言があるそうです。

 

―― 世界が平和でない理由は、争いがあるからですが、人体にはドーパミンと

いう、争いによって快楽を得るホルモンがあります。ドーパミンは、神経の伝達

物質にかかわり、機動力があります。一方、人体には、セロトニンという、ドー

パミンによる攻撃性をクールダウンさせるホルモンもあります。

 戦いをやめるには、まず自分の体を認めるところから始めましょう。痛みがあ

ると、つい痛いところを責めてしまいます。それは仕方ないことですが、責めた

後は、そっと撫でてあげましょう。

 自分を好きになることで、心が解放されます。体が脳の一方的な命令にさらさ

れて、疲れて縮こまっているなら、それを開く方向に、体をゆるめることを意識

してください。

 

―― 「さとう式リンパケア」では、ケアの講習を、「練習」ではなく「稽古」

と呼びます。稽古という言葉は、「稽古照今」=「古(いにしえ)を稽(かんが)

え、今に照らす」という熟語に由来します。

 稽古は、「手合せ」「手ほどき」とも呼ばれます。試合に勝つための「練習」

や「訓練」ではない、「稽古」という日本語の発想は、セロトニン感性が高いと

いえないでしょうか。

 日本でよく食べられてきた、米、日本そば、大豆、さつまいも、サトイモは、

セロトニン感性を高める作用があるので、そのような文化が生まれたのかもしれ

ません。

 

―― 27年前になりますが、私は柳田正志先生から、一酸化窒素をテー

マにした講義を受けて、深い感銘を受けました。

 一酸化窒素は善玉ラジカルで、血管内皮細胞という、血管を構成している細胞

から分泌され、循環をよくして心筋梗塞などを防ぐ役割があります。

 柳田先生は、「エンドセリンという強力な血管収縮薬は、血管内皮細胞を培養

することによって作られる」と教えられました。そして、「世界を救う薬はある

のか? NO。しかし、NO(一酸化窒素)は、世界を救う」と、おっしゃった

のです。

 それを聞いて、私の全身に、鳥肌が立ちました。

 

―― 「さとう式リンパケア」の手技によって、体に超微弱刺激を加えると、血

管やリンパ管から一酸化窒素(NO)が分泌されます。

 体のどこでもいいので、自分で自分を軽く撫でてください。撫でるときは、向

きはどちらでもいいのですが、なるべく軽く撫でることがポイントです。やわら

かい筆で撫でるくらいがいいでしょう。

 撫でることによって一酸化窒素が分泌されると、神経がつながっていき、それ

らつながった神経は、しだいにネットワークになっていきます。そして、脳が神

経ネットワークの反応を意識することによって、それまで作られたニューロンの

他にもバイパスが生まれ、さらにつながりが広がっていくのです。

 ここで、実験してみてください。足踏みすると、両足のどちらかが重いと感じ

られるでしょう。重い方を軽く撫でてからまた足踏みすると、ずっと軽くなるの

がわかります。

 シンプルなケアですが、超微弱刺激には、このように体に大きく影響するので

す。

 

 ・・・(以下は、ご参加の皆さんのご質問から)・・・

 

*一般的なインソール、補正下着について

 補正の作用があるものは、効果があればあるほど、使い続けると筋肉が落ちま

す。たとえば、首のコルセットをすると、あっという間に首の筋肉は落ちます。

いったん補正して、よい状態を実感したら、それら補正器具は使わないようにす

るのがいいでしょう。

 

*ストレッチについて

 ストレッチは、体に与えるダメージが大きいことがわかっています。以前は運

動前によくストレッチがなされていましたが、最近ではあまりおこなわれなくなっ

ています。

 ストレッチをして破壊された筋肉は、大きくなりやすくなります。筋トレでは、

筋肉を破壊して、筋肉量を増やします。糖尿病の人など、ストレッチして筋肉量

を増やすことが望ましいケースもあります。

 ダメージが大きいとはいえ、ストレッチをしてはいけないというのではありま

せん。要は、ストレッチの後にケアをすればいいのです。軽く撫でることによっ

て、循環がよくなれば、時間がかかってもダメージは回復します。

 

*かみ合わせの悪さと体調不良について

 かみ合わせの良し悪しではなく、上の歯と下の歯が接触しない状況を作ること

が大切です。簡単なケアですが、眠るとき耳に輪ゴムをかけてみてください。

 すると、舌位が上がり、舌が歯ではなく歯茎の裏につくことによって、食いし

ばりがなくなります。舌位が上がると気道確保になりますし、子どもはそれだけ

で歯並びがよくなります。舌位を意識していると、脳と舌のネットワーク

ができて、他のバイパスとのつながりが増えるとともに、よりよい神経ネットワー

クが作られます。

 頭は体をコントロールできません。けれど、頭と体がつながると、頭は体をマ

ネージメントすることができます。体は本来、よい方向に動こうとしているので、

神経のネットワークを作り、頭と体の連携をとることで、体調はいつのまにか調っ

ていきます。

 「さとう式リンパケア」では、Youtubeに動画をたくさんアップロードしてい

ますので、ぜひご覧になり、自己管理なさってください。体のバランスは、ティッ

シュ一枚のようなささやかな工夫で、調えることができます。体の変化を受け入

れつつ、ご自身のペースでお稽古してみてください。

 

*腰椎狭窄症について

 私自身、二分脊椎症で、車いす生活でもおかしくない状況でした。中学のとき

から腰痛が始まり、20代では入院したこともあります。腰痛がひどくて、自分

の赤ちゃんも抱っこできませんでした。

 ところが、体の使い方を知ることによって、今は70キロまでの人なら、お姫

さま抱っこができます。ポイントは、軸を使わず、筒で立つことです。

 腔(くう)を意識して、筒で立つようにすると、背骨に負担がかかりません。

背骨の後ろ側の筋肉を使わず、前側の筋肉を使って、筒を持ちあげるように立つ

のです。さらに、後ろの筋肉を引っ張らず、前の筋肉を伸ばしていくようにする

と、腰をいためずに重いものを持ち上げることができます。

 

*老眼について

 老眼は、目の周りの筋肉が収縮している状態なので、それをゆるめることがで

きれば、症状を改善できます。もともと目がよかったケースは難しいのですが、

近視だった人の場合、目の周りに縮んだままになっている筋肉があるので、そこ

をゆるめていくと、老眼が軽くなる可能性があります。ゆるめるには、耳たぶ回

しや頬を撫でるなどのケアがお勧めです。

 

*気持ちを明るくするには

 呼吸法がいいでしょう。腕を上げて呼吸すると、体を縦に引っ張ることになり、

内側に力が入って、肋骨がよく耐え、胸郭が縮みません。すると自然に、腹式で

息を吐くことになります。しかも、息を吸うときは、胸式でおこなうことができ

ます。

 腹式呼吸をよしとする人もいますが、腹式は呼吸器を使わないので、あまり望

ましくありません。理想は、胸式で吸って腹式で吐く、胸腹式呼吸です。

 呼吸法によって心にどんな変化が生じるか、ゆったり感じながら、深呼吸して

みてください。

 

*足の腱が切れて治療中でも、「さとう式リンパケア」はできるか

 筋肉は動かさないとかたまってしまうので、切れている腱は動かさないように

注意しながら、問題ない筋肉は、なるべく動かすようにしたほうがいいでしょう。

 Youtubeに紹介している「足指ワイワイ」というケアは、切れた腱を刺激しな

いで、とりくめると思います。痛みのないように、負荷がかからないように、試

してみてください。

 ちなみに、「足指ワイワイ」はシンプルなケアですが、おこなっていると緊張

がとけて、気持ちも落ち着いてきます。

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