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大野百合子さんの講演録

 宇宙の図書館と呼ばれるアカシックレコードには、1万3000年ごとに集合意識が大きく変化すると記録されています。アカシックレコードによると、現在は、分離から統合、二元の時代から一元の時代への移行のただ中にあるそうです。
大野百合子さんにアカシックレコードの情報と古代の叡智についてお話しいただき、さらに古神道に伝わる呼吸法と祓いのワークをご指導いただきました。
(2017年10月26日、東京ウィメンズプラザ)


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―― 皆さんは「アカシックレコード」についてご存じですか。アカシックレコードとは宇宙の図書館とも呼ばれるデータバンクで、2億600万年前から西暦7632年までの地球の歴史や集合意識の変遷が記録されています。
 人間一人ひとりをパソコンに例えると、アカシックレコードとはインターネットのクラウドのようなものです。一人一人の情報、状態、出来事に対する反応は、パソコンを通してデータがクラウドに送信されるように、アカシックレコードに記録され蓄積されます。
 私は25年前にゲリー・ボーネルさんからアカシックレコードについて学びました。ゲリーさんは幼少期に臨死体験をしてから、何十年もアカシックレコードを読んできました。今回はアカシックレコードの情報をもとに、お話ししていきます。

―― 私たちは全員アカシックレコードから情報をダウンロードしていますが、そのほとんどが無意識のうちに行われています。初対面なのに懐かしいとか虫が好かないとかいうのは、無意識にアカシックレコードにアクセスして、過去生の情報をダウンロードしているのです。別のタイムライン、つまり今とは別の人生で親しければこの世でも懐かしく感じるし、険悪な関係だったら近づきたくないと感じます。
 眠っている間は顕在意識が静かになるので、魂が別のタイムラインを体験することがあります。夢はたいていまとまりがありませんが、起承転結がはっきりした夢は、寝ている間に別のタイムラインを訪れた記憶であることもあります。

―― 地球の地軸は斜めになっているため、地球には2万6000年ごとに歳差運動があります。アカシックレコードによると、その半分の1万3000年ごとに、人間の集合意識は分離から統合へ、統合から分離へと、呼吸のようにシフトしています。
 シフトは急激に起きるのではなく、移行期間として1000年の幅があります。そして現在は、1万3000年続いた分離の時代が終わり、統合へシフトしている最中になります。2012年の冬至が1000年の移行の幅の真ん中に当たります。
 分離と統合は、二元の世界と一元の世界とも説明できます。集合意識が完全に一元の世界を迎えるまであと500年かかりますが、ティッピングポイントは越えたので、意識の変化はこれからどんどん進んでいくでしょう。オーラや守護霊といった言葉が普通に語られるようになったのも、その現れだと思います。

―― アカシックレコードには、人間は「永遠不滅の魂が、進化する魄(はく)に宿っている存在」と定義されています。私たち人間の中には、ビックバンから生まれた周波数の違う二種類のエネルギーが組み合わされています。私にアカシックレコードの読み方を教えてくれたゲリーさんは、魂をソウル、魄をスピリットと呼んでいました。
 魂/ソウルは陽で、宇宙に起源をもち、永遠不変です。「地球ってどういうところかな?」と、宇宙から団体旅行でやってきたのが魂です。まずプレアデスやアンドロメダなどで肉体をもつ体験をして、それから地球にやってくる魂も多くあります。
 魄/スピリットは陰で、物質になりうるエネルギーのことです。例えば、水は蒸気のときは目に見えませんが、冷やすと液体、固体に変わります。スピリットの波動は密度が薄いときは見えませんが、濃くなると物質になるのです。ソウルが永遠不変なのに対して、スピリットは進化するために生き残り、種の保存をしなくてはなりません。そこで、スピリットは安心安全、サバイバルを求めます。
 私たちがこれから向かう一元の世界は、魂魄(こんぱく)、ソウルとスピリット、陽と陰が合一した世界です。社交ダンスで男女がそれぞれ情熱的に自分を表現しながらも、一つの音楽にのって踊るような世界です。
 一元の世界では、考えることと感じることが一致します。「私」と「あなた」を滴に例えると、一つひとつは個別の滴でも海の中では一つであるように、すべてが大いなるものの一部であることが顕在意識でわかるようになります。

―― いまの時代より一つ前の一元の世界は、アトランティスの時代で、ギリシャの哲学者プラトンによる記述があります。アトランティスは学術的には存在を認められていませんが、地中海の海底には遺跡がたくさん見つかっています。
 アトランティスより前には、レムリアという文明がありました。レムリア文明はとても長く続き、二元、一元、二元という3つの時代にまたがっています。レムリアは太平洋地域を中心に栄えた文明で、中国大陸、日本、ハワイが含まれます。
 アトランティスがテクノロジーに特化したのに対して、レムリアは自然のサイクルを重視しながらクリエイティビティにフォーカスしたという特徴があります。レムリアの一元の時代の叡智は、アトランティスの時代の叡智とほぼ同じで、アトランティスをレムリア文明の一つの地域文化であると解釈する人もいます。
 レムリアやアトランティスが終焉を迎えた後も、古代の叡智を保ち、伝え続けようとした存在たちがいました。その伝統は、日本では古神道に一番深く受けつがれています。

―― アカシックレコードによると、かつては海面がもっと低く、日本列島は高山の連なりだったようです。だんだん海面が上がって、いまの日本になったのです。
 かつての一元の世界では、神々は高地に住まうと考えられていました。つまり、私たちが暮らしているのはもともと高山で、レムリアの聖地だったのです。
 私たちの体には、レムリアの一元の時代を記憶するDNAが備わっています。日本には神社は8万あるといわれ、個人が祀っているお社まで数えると、それこそ無数にあります。日本には、聖なるエネルギーのネットワークが広がっているのです。

―― 人間は、魂(ソウル)と魄(スピリット)という二種類のエネルギーが組み合わさった存在ですが、この二つのエネルギーはそれぞれ生まれ変わります。
 精子が卵子にぶつかるとき、ある種の光と音が出ます。この光と音は、イギリスの体外受精の研究所の8Kカメラに記録されたそうです。そして、この光と音の波動と同じ波動のソウルとスピリットが、受精卵に引き寄せられるのです。
 DNAはいわばブロックのようなもので、スピリットのエネルギーによって組み合わされて肉体になります。一方、ソウルは波動が強烈すぎるため、受精卵に引き寄せられてもすぐには入れず、肉体に完全に入るのは、妊娠後期3分の1から生後三日くらいまでの間になります。
 スピリットが入れば胎児の体は育ちますが、ソウルが入らないとその後は生きていかれません。そこで、ソウルが「今回はやはりこの肉体には入らない」と決めると、赤ちゃんは亡くなります。

―― スピリットは、なじみのあるところに輪廻転生しようとします。変化はたとえよい変化でも、スピリットにとってはストレスです。行きつけのバーと高級バーでは、行きつけのバーのほうが気楽であるように、スピリットは同じ家系の中で生まれ変わります。
 私は母方の祖母が亡くなって三年後に生まれました。特殊な痣、血液型、斜視の傾向など、祖母とそっくりだったので、家族に「生まれ変わりだ」と言われて育ち、私自身もそう思っていました。
 ところがアカシックレコードを読んだら、私の直前の過去生はアメリカ人男性だったのです。はじめは驚いたのですが、これはスピリットの直近の過去生が祖母で、ソウルの直近の過去生がアメリカ人男性ということでした。
 私が祖母と同じ痣をもって生まれたように、直前のスピリットの過去生は、いまの人生に大きな影響を与えることがあります。たとえば、火事で亡くなったためにアトピーが出る人もいます。過去生の影響は、スピリットの意識が優位な7歳を過ぎると薄れていくので、過去生が原因の病気は7歳を過ぎると自然に治ることがあります。
 スピリットが父方母方どちらのラインで転生するかというと、人それぞれです。顔立ちが似ているほうの家系の転生であることが多いですが、そうでないこともあります。直観で感じとれるなら、それはたいてい合っているようです。日本文化の先祖崇拝は、スピリットは輪廻転生するという叡智のあらわれであり、すばらしい文化です。
 かつてはスピリットが生まれ変わるのは30年ほどかかりました。仏教では33回忌で法事を終わらせることが多いですが、これは輪廻のサイクルと一致します。
 ところが、現代はそのサイクルが早くなっています。第二次世界大戦ではたくさんの方が亡くなりましたが、戦後すぐに多くのスピリットが戻ってきました。私の父は、もう孫に生まれ変わっています。

―― いま、何兆もの魂が地球を取り囲んで、1万3000年ぶりのシフトを見守っています。地球上に肉体をもつ人間は70億いますが、この時代を生きた人間として体験したい魂はたくさんいますから、生まれることができた私たちは椅子取りゲームの勝ち組のようなものです。
 意識の目覚めを体験したり、一元の世界を体験したりするために生まれてきた人たちは、かつてのように職業を選んで生まれていないので、この世で何をしていいかわからないことがあります。特に30代、40代にそのようなケースが多く、そういう人は特定の職業につくことを目的にするのではなく、いま自分がしていることの中に生きる目的を見つけていくことになります。
 アカシックレコードを読むと、この人生で輪廻転生を終わりにすると決めた人がかなりいます。ソウルやスピリットの世界に興味がある人は、無意識的にも意識的にも、この人生で意識を拡大することを決めて生まれてきたのだろうと思います。

―― アカシックレコードには、人間は7年ごとに肉体と魂の波動が大きく変わると記されています。人間は未熟な状態で生まれてくるので、最初の7年に当たる0歳から7歳までは、親や周りの人に世話してもらわないと生きていかれません。受け入れられ、愛されていないと、動物としての自分は生きぬけないのです。
 そこで、人間はサバイバルのために、親の期待に応えなければならないとか、自分の意見は言わず黙っておくといったサバイバル戦略を、7歳以下、5歳くらいまでに決めてしまいます。心理学でも指摘されていることですが、人間の信念や行動パターンの95パーセントは、この時期に決まります。
 この仕組みに気づかない限り、私たちはその後の人生を、幼いころに決めた戦略をメインに生きていくことになります。そしてハートがやりたいことがあっても、サバイバル戦略に合わないことだと、あきらめるべきだという葛藤が生まれます。
 この葛藤を、古神道は「異心(ことごころ)」と呼んでいます。古神道の世界観においては、一人ひとりの魂は神さまの分け御魂(わけみたま)であり、私たちの中には天照大神が宿っています。内なる神が雲によって覆い隠され、本来の心と異なる状態になっていることを、異心というのです。

―― サバイバル戦略を決めるスピリットとは違って、ソウルは何ごとも裁くことなくあるがままで、悲しみも地球体験の一つとしてただ見学しています。ソウルはすでに悟った存在で、わざわざ前面に出て私たちを無理に変えようとすることはありません。
 ただし、ソウルは生まれる前に、この世で目覚めるための目覚まし時計として、大きなイベントをいくつか決めています。サバイバルモードではない、自分を表現する魂のモードに切り替わるために、病気を設定することもあります。ストレスの結果うまれる病気は避けられますが、ソウルが設定した病気は、避けられない出来事として発症します。ただ、その結果は、出来事にどう反応をするのかによって、異なるのです。
 もっとも、イベントは必ずしもネガティブな体験とは限りません。誰かに会うとか、誰かを助けるというイベントを設定していることもあります。
 ソウルも転生しますが、スピリットのように肉体をもって過去から未来に向かって進んでいくという転生ではありません。ソウルは同時存在時間にあり、ソウルにとって過去生は過去のことではなく、並行次元に存在しています。
 時間と空間は、情報を整理するために便宜的に作られているものに過ぎず、絶対的なものではないのです。ソウルは、ちょうどたくさんのモニター画面があるテレビ局のスタジオで、いちどにたくさんの画面を見ているように、転生を体験しています。
 ソウルは平均350回生まれ変わっています。地球が大好きで、500回、1000回以上生まれている人もいます。
 このように、私たちは何度も輪廻転生していますが、このソウルとこのスピリットの組み合わせは、いまだけです。だからこそ「どうせ生まれ変わるから」というのではなく、「いまこ」を意識することが大切です。「いまここ」を「マインドフルネス」と呼ぶ人もいますが、神道では「中今(なかいま)」と呼んでいます。

―― 二元の世界では、葛藤が人間をリードしています。しかし、一元の世界では、ソウルとスピリットの二つが自由に交流し、同じ方向に流れることになります。古神道では、一元の世界のことを、魂魄一如、神人合一の世界と呼んでいます。
 過去にとらわれず、未来を不安がらず、「いまここ」にいることが、ソウルとスピリット自由に流れ合っている状態であり、そのとき私たちは「永遠のいま」を生きることになります。大好きなことに夢中になっていると時間の流れを感じないものですが、それが神人合一の体感覚です。
 一元の世界になると、ソウルとスピリットを隔てる壁が薄くなるので、人生は大きく二つに分かれます。ソウルとスピリットの葛藤を手放していると、シンクロニシティが増え、思うことが次々かなっていきます。
 しかし、葛藤をずっと押し殺してきた人は、マグマのようにたまったエネルギーを抑圧しきれなくなります。そのエネルギーは、外に向かうと暴力的な行動、内に向かうと鬱などの精神的不調として爆発します。

―― 一元の世界を迎えるこの時代は、意識を広げてソウルとスピリットの交流を深めておくことが大切です。そのためには瞑想や呼吸法をおこなって、脳波を変えていくことが役に立つでしょう。
 ふだんの私たちの脳波はβ波ですが、リラックスして深呼吸するとα波、さらに脳波が下がるとθ波になり、眠りこみます。α波とθ波の中間は、脳波は非常にゆっくりでも目が覚めている状態です。そこには「神秘の扉」があるとされ、スピリットとソウルが自由に交流して、インスピレーションやビジョンが下りてきます。直観が鋭くなり、世界はシンクロニシティに満ちていることに気づきます。

 インスピレーションを受けとりやすい状態を、昔は「三上(さんじょう)」と呼んでいました。馬に乗っているとき、枕をして寝ころんでいるとき、厠(トイレ)にいるときで、いずれもリラックスタイムという特徴があります。
 アメリカにも「3B」という似た表現があり、ベッド、バスルーム、バスにいるときにインスピレーションが下りやすいと言われます。
 私は飛行機に乗っているとき何度か神秘体験をしました。高い場所はもともと意識が拡大しやすいものですが、さらに飛行機の適度な揺れが加わるからでしょう。単純に走るだけでも、神秘体験をすることもあります。ランナーズハイになると、体外離脱して、走っている自分の後ろ姿が見えることもあります。

―― ソウルは天のエネルギー、スピリットは大地のエネルギーです。ソウルとスピリットが一つになると、私たちは言霊のパワーを使って、物事を実現できるようになります。
 日本は古来「言霊の幸はふ国」と呼ばれ、言葉に宿るパワーを理解し、活用してきました。日本語の「罪(つみ)」は、エネルギーの「つまり」、または、内なる天照大神が「つつみ」こまれて隠されている状態を意味します。また、「ケガレ」は、本来は流れているはずの「気の枯れ」を意味します。
 神道では、祝詞をとなえ、言霊のパワーを活用して罪とケガレを祓っていきます。中でも「六根清浄大祓」はすばらしい祝詞で、レムリアの一元の時代の叡智を伝えており、古神道の世界観がすべて込められています。神仏習合だった時代は、仏教系の修験道の人たちも「六根清浄大祓」を唱えていました。
 この祝詞の大意は、次のようなものです。<天照大神がおっしゃるには、人間の心は、もともと神さまの分け御魂である。だから、あなたが自分を裁くことは、天照大神を裁くことになる。五感で不浄を感じても、内なる心にその不浄を入れてはならない。六根が清らかであれば、身体健やかであり、神仏と同じ根っこをもつものであり、すべてのスピリットと一つであり、したがって、願うことがかなわないということはない>

―― 私たちは、永遠不滅の魂が、進化する大地のエネルギーに宿っている存在であり、天地をつなぐ存在です。私たちはもともと、清く明るくクリアなエネルギーであり、魂魄一如、神人合一の存在なのです。
 脳波を下げて「神秘の扉」を開けると、すべての存在は大もとで一つにつながっていることを体感できます。すべてがつながっているのですから、人を傷つけることは自分を傷つけることであり、自分を裁くことは天照大御神を傷つけることになります。

 そしてまた、魂魄一如、神人合一の存在として一元の世界を生きるなら、森羅万象のすべてと一つなのですから、思うことはすべて実現するのです。

―― ソウルとスピリットが一致せず、ハートの思いと思考がぶつかったときは、呼吸法をおこなって脳波を下げ、「神秘の扉」を開けてみましょう。
 「息吹永世」という、神道の呼吸法をご紹介します。
 足裏の拇指丘と呼ばれる部分を床につけて、大地につながるイメージを浮かべてください。椅子に座り、手のひらを上に向けて鼠蹊部につけると、エネルギーの通りがよくなります。印を組みたいかたは、そうしても構いません。
 目を閉じて、口角を上げ、鼻からゆっくり息を吸って、口から吐いていきます。
 息を吸うときは、全身から皮膚呼吸でご神気を吸いこみ、丹田に送りこむところをイメージしてください。丹田はおへその少し下、奥のほうにあります。肺全部を使って吸いこみ、背中や肩甲骨まで息が入っていくところをイメージしましょう。
 エネルギーは、あなたの背骨にも流れ込み、そして流れ出します。背骨は「天の御柱(あめのみはしら)」と呼ばれ、天地をつなぐエネルギーの柱と考えられています。
 息を吐くときは、口をストローのように丸くして、細く長く吐いていきます。もやもやした気持ち、言いたくても言えなかった言葉、傷ついたままのエネルギー、細胞やオーラに滞っているものすべてを、吐き出していきます。
 「私が私であることを妨げているものすべてを解放する」というイメージで息を吐いていくと、滞りがとれていきます。

  ・・・・実演・・・・

―― 細く長い呼吸は、はじめは難しいですが、訓練すると一息40秒、2分で3回ほどの呼吸ができるようになります。この呼吸法は18回を1サイクルとしておこないます。これは海の波が1分間に18回打ち寄せることに由来すると言われています。
 朝日を浴びながらこの呼吸法をおこなうと、遊離していた魂が鎮まって、魂魄一如になり、心身健やかになります。このとき、ハートチャクラの前で鎮魂印という印を組むと、純粋な気のエネルギーを効率的に丹田にとりこみ、さらに全身の細胞を通してオーラに広げることができます。

―― 古神道には、祓いという智慧もあります。祓いは、エネルギーの滞りをきれいにして神人合一をもたらす方法で、柏手や鈴祓いもその一つです。三種の神器の印を組んで息を吹きかけ、ひたすら体を揺らすという方法もあります。
 祓いの行の一つ「振魂(ふるたま)」は、合気道の創始者、植芝盛平さんが心身統一のために取り入れたことで知られています。
 「ふる」の言霊には「増やす」という意味があり、「ふるたま」とは「エネルギーが増えていく」ことを指します。振ることによって不要なものを振り払うとともに、新しいエネルギーがどんどん注入されていくのです。
 人間の体は、もともと微かに振動しています。合掌して手に力を込めると、腕が何となく動き始めますが、それがいちばんシンプルな「ふるたま」の方法です。動かないときは、まずは動きたいように動かしてみてください。
 野口整体にもクンルンネイゴン(気功)にも、体を揺らすことによって心身を調えていく方法があります。細胞は振動を与えることによって生き生きと蘇りますから、この方法は生理学的にも説明がつきます。古代の叡智は、このようにさまざまな形で受けつがれてきたのです。

  ・・・・実演・・・・

―― では、足を肩幅に広げて、立ってください。合掌して、手のひらの間に隙間を作り、そこに口から息を吐いてください。目を閉じて、「とほかみえみため」と言ってみましょう。
 次に、今度は口に出さず、心の中で「とほかみえみため」と唱えてください。手が動きだしたら、自然な動きにまかせてください。足を動かしたくなったら揺らして構いません。
 体を揺らし、細胞に振動を与えることによって、子どもの頃に受けた心の傷、
自分に対する裁き、いまの悩みなど、要らないものがふるい落とされ、本来のエネルギーに満たされていきます。
 「ふるたま」を終えるときは、まず、手のひらから息を吸い込みます。右足を一歩前に出したら、親指を中にして二本指を立て、剣に見立ててエイっと 右上から左下に切りおろします。

―― エネルギーを活性化したり解放したりしたいときは、ご自宅でも「ふるたま」をなさってみてください。大自然の中でおこなうのも、とても気持ちがいいです。
 (会場の質問を受けて)「とほかみえみため」は、「遠き神、恵みたまえ」とか 「笑みたまえ」と解釈するかたもいますが、音には一音一音それぞれ多次元的な意味がありますので、意味はあまり考えず、感覚のままに唱えるほうがいいでしょう。

―― 古神道の祓いには、風の祓い、火の祓い、水の祓いがあります。「清明水」を作っておくと、水の祓いに使うことができます。ホテルなどで「この部屋なんとなく嫌だな」と感じたら、清明水を左・右・左の順にふりまくと、場のエネルギーを浄化することができます。清明水は、水、お酒、塩を、4:1:1の比率で混ぜて作ります。海水くらいの濃さになるので、舐めるとかなりしょっぱいです。
 塩水は浄化の力がとても強いです。清明水で祓う時は、できれば榊を使うと良いのですが、割りばしで代用してもかまいません。古神道では、植物は太陽からエネルギーを受けとって酸素を放出し、大地から水を吸いこんで二酸化炭素を放出するので、天地をつなぐエネルギーのシンボルと見なされます。
 榊はご神事でよく使われますし、古神道には花を使う祓いやまじないもあります。植物は天のエネルギーを下ろす媒介になるので、部屋にはぜひお花を飾ってみてください。

―― アカシックレコードによると、人間の生命エネルギーフィールドには七層のレベルがあります。最も密度の濃い波動が物理的肉体レベル、そしてエーテル体、アストラル体などと続き、その次に精妙な波動をもつのがコーザル体です。
 コーザル体は、すべての存在とつながっています。それはちょうど、指一本一本は独立しているように見えても、手のひらで指はみんなつながっているのと同じです。
 肉体に五感があるように、魂にも五感があり、それは超能力と呼ばれているものです。神人合一の状態になると、テレパシー、サイコメトリー(物品に触れるだけで来歴を感知する能力)なども可能になります。
 また、ソウルとスピリットが一つになって、体が恐怖にとらわれなくなると、体は本来そなわる叡智を発揮できるようになります。アカシックレコードによると、肉体は90日先まで情報を読むことができます。体はサバイバルの達人なので、危険な場所へは「なぜか気が進まない」という形でストップをかけることができます。911の同時多発テロのときも、その日に限って体調が悪くなり、出勤しなかった人もいました。
 「人からどう思われるか」を気にするのは、肉体意識が優勢なサバイバルモードです。自分や人を裁いたり比べたりするのは二元の世界であり、瞑想や呼吸法を活用して一元の世界に移行することが大切です。
 ソウルとスピリットの葛藤がなくなり、宇宙の流れに沿って、自分自身を信じて生きていけばいいと体感するようになると、<right place, right time>, 正しいときに正しい場所にいられるようになります。シンクロニシティが増え、思いがけないところで人とばったり出会ったりほしいものがベストタイミングで届けられたりするでしょう。

―― では、【清明神咒】という祝詞を挙げて、短い瞑想をしましょう。

  (注:ここで唱えた祝詞は口伝のため、活字でご紹介できません)

 鼻からゆっくり息を吸い、純粋なエネルギーを丹田に吸い込んでください。あなたの「天の御柱」、頭頂と仙骨をつなぐ光の柱に、エネルギーを吸いこみます。エネルギーは全身に広がり、あなたのエネルギーフィールドを満たし、この部屋を満たしていきます。
 息を吐きながら、エネルギーを居心地がいいところまで広げていきましょう。エネルギーがこの会場を満たし、東京を満たし、どんどん広がっていき、意識が拡大していくのを感じてください。
 感謝と微笑みで、あなた自身とこの世界を満たしましょう。私たちは、個としての自分を保ちながら、すべてとつながっています。ミクロでありながらマクロ、天と地の双方をつなぐ存在なのです。
 ゆっくり呼吸しながら、黄金の光の柱の上に座っている自分を感じてください。光の柱の上からは、360度すべてを見下ろすことができます。空気はかぎりなくクリアです。第三の目とハートが呼吸とともに開かれていくのを感じてください。
 遠くに山や町が見えるかもしれません。それらはこの地球上のあなたの転生を象徴しています。あなたはいま、光の柱の上からそのすべてを見下ろしています。

―― ゆっくり呼吸しながら、再び丹田を意識しましょう。丹田が太陽のように輝き始めるのを感じてください。あなたの内側から強烈な光が輝き始め、あなたを満たしていきます。見上げると、宇宙の中心の光、天照大御神に象徴される太陽の光が輝いています。天の光があなたに向かって下りてくるのを感じてください。
 天の光が頭頂から下りてきて、丹田で輝くあなた自身の内なる光と一つになるのを感じましょう。一つになったエネルギーを、しっかり穏やかに呼吸します。天と地が一つになります。魂と魄とが一つになります。
 ソウルとスピリットのエネルギーが、あなたの内側も外側も自由に流れ、交流しているのを感じます。ゆっくり深く呼吸してください。
 あなたにとって最も必要な気づきとメッセージが、いま下りてきています。それは言葉かもしれないしシンボルかもしれません。深い気づきやインスピレーションをもたらすメッセージを受けとってください。それはあなたの内なる神からのダイレクトなメッセージです。
 メッセージあるいはシンボルを受けとめたら、意識をこの部屋のあなたの体に戻します。この部屋にいる自分を意識してください。足を感じて手を感じてください。大きく深呼吸してから目を開けましょう。
―― 最後に「六根清浄大祓」をご一緒に唱えます。神社の祝詞奏上では節回しをつけることもありますが、古代の叡智ではモノトーンで唱えています。
 まず45度のお辞儀をしてから、90度のお辞儀を2回、そして柏手です。柏手は、右手を左手の指の第一関節まで下げて、2回打ち鳴らします。

  (「六根清浄大払い」祝詞)

 そして、柏手2回。90度のお辞儀を2回。45度のお辞儀を1回。
 今日はどうもありがとうございました。


★大野百合子さん: 神戸女学院英文科卒。1993年より心理学、精神医学関連の通訳、翻訳に従事しながら、ゲリー・ボーネル氏などから古代の神秘的叡智について学ぶ。自らも幼少時代から多くの神秘体験がある。現在は、講演、ワークショップ、統合セラピーをおこなうとともに、執筆、翻訳、通訳、イラストなど、幅広い分野で活躍中。著書『日本の神様カード』『日本の神託カード』『百魂百色』『叡智の道』、ゲリー・ボーネル訳書ほか多数。漫画『スピリチュアルかあさん』のモデルでもある。 

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