清水 義久さんの講演録

          「神道に見る共生き」清水 義久さん 
        2017/9/28 東京ウィメンズプラザ第一会議室 

 

 日本に古くからある宗教「神道」は、神の道と書くが、この言葉は中国語でも日本語でもない。日本にやってきたキリスト教の宣教師さんたちによってネーミングされたものだ。日本には固有の宗教「Shinto」があるとローマ法王に報告され、この言葉はヨーロッパに広がり、あとから日本人が取り入れた。神道は仏教以前の日本固有の信仰であり、出雲の神々、「国つ神」から始まる。 
 神道の中の一番重要なテクノロジー、「大祓」(おおはらい)という祝詞には、天つ神、国つ神、八百万の神々が出てくるが、神様の名前が天の神と国の神に分けられている。天皇家の流れにつながる神様の系譜を「天つ神」といい、天照大神さんである。この日本にやってきて、高度な文明を持ち込み、神武天皇以来日本に住み着いていった。一方、前に住んでいた日本古来の人たちは政権交代をさせられ、「国譲り」になり、「国つ神」という神々になった。そのリーダーは大国主命と名づけられ、今の出雲大社の御祭神になっている。 
 ややこしいのは、原始大和朝廷が日本を支配していたとき、国内に元々いた人はアマと呼ばれ、外から来た諸外国の人たちをクニという名前で呼んで分けていたことだ。それが国譲り以降、最初からいた日本人は外国人扱いにされてしまった。 
 伊勢神宮と関連し、その表舞台となった大和の国を作った弥生人は、中国・朝鮮半島からやってきた騎馬民族のような人たちだが、稲作を持ち込み、定住していった。これが我々の天皇家になっていき、日本国となっていった。一方、縄文時代から日本にいた人たちは海洋国家という大きな世界で、太平洋と日本海を船で行き来していた。黒潮の流れに乗って、南は沖縄、琉球、台湾まで行き、琉球は原始大和の国のひとつだった。 
 旧石器時代、新石器時代といえば原始的世界に思われるが、古代の日本人はとてつもない高度な技術を持っていたことが証明されている。ひとつは、青森の三内丸山遺跡の古墳の発掘によって、彼らの住居が出雲の社の造りにとてもよく似ていると指摘されており、高度な建築技術があったことだ。さらに物品でいうと、琉球で発見された黒曜石のヤジリの原産地を調べると、なんと長野県松本の和田峠から産出されたものだった。それだけでなく、日本各地で発掘された石器の原石がこの信州山奥の黒曜石であることが分子構造で明らかになった。すでに縄文時代に、北海道から九州、沖縄までその石器が流通していたということだ。流通経路を考えると、陸地での流通は明らかに不可能で、新たに分かったのは、船で日本一周ぐるぐる回る海洋ルートを自在に動いていた縄文人の姿があった。これが出雲の人たちだ。 
 衝撃的な話がある。ネイティブ・アメリカンの人たちは蒙古斑を持っているということ。これは彼らが日本人と同じモンゴロイドであることを遺伝子的に証明している。ということは、あれだけかけ離れたアメリカ大陸に何万年か前に渡っている日本人たちがいたということだ。もっと古い時代、シベリアとアメリカ大陸が繋がっていた時代にアイヌの人が歩いていったのかもしれない。いずれにしても、同じ仲間であることが分かっている。 
 こういう幅広い地政学、地理上の分布を頭の中におくと、私たちが考えている神道という宗教の趣きは、まったく変わっていくと思う。つまり、これは世界宗教であり、天皇を崇拝する国家神道という枠組みからもっと大きく離れなければいけない不思議さがある。 
 日本にやってきた宣教師たちがその教えに触れた時、得体が知れなかった。何を信仰していて、何を教えにしているのか、また儀式の意味も分からなかった。多くの時間が過ぎた今でも「神道」という教えはさっぱり分からない。国家やナショナリズム、カルチャー、文化、文明を超えた宗教というよりも、それ以前の人種が混載していた時になんとなく作られたアニミズムだと思う。アニミズムというのは一番古いタイプの宗教で、「すべてのものに生命が宿っている」という考えを基本にするが、神道はもっと奥に行く。物質は生命体である、存在とは命である、素粒子は意志を持ち、生命体である  このばかげた考え方がたぶん神道の核心だと思う。水も土も光もすべて意志を持ち、生きている。だから、我々もまた、死んだら地に埋められ、土に変わり、より大きな広い大地と一体になり、私という個体はその広大な命とひとつになる。そして、安らぎのなかに戻っていく。吸い込む空気もまた、命であり、外の世界の命が呼吸とともに自分の中に入ってくる。たとえば、体が病気だったら、体を構成する生命を空気から吸い込む。すると体は整っていく。心が病んでいたら心を構成する生命を吸い込む。すると心は満たされていく。意識のフィルターをかけ、万物は同じものでできていると考えるのだ。それぞれの形が変化して、モノの要素として組み込まれたとき、一人ひとりの顔が違うように、個性や生き方が違うように、あるものはひまわりになり、あるものは青虫になり、あるものは人間になり、光になり、神になる。 
 一番上等で一番純粋な命のエネルギーがいっぱい集まったものを神仏と言う。そしてそのエネルギーが少なかったり、元気がなかったり、困ったりしてエネルギーが減ると、影ができる。万物は、意志を持って考え、反応し、生きているのが本質だから、闇によってそこから離れれば離れていくほど、生命のエネルギーは消えて死んでいく。生命の存在が崩壊すれば、モノという存在になるだけだ。 
 しかし、モノは「もののけ」という命があるから、ペンもマイクもテーブルも生命の形が違うエネルギー体の表れだと考えられる。これを万物一元論という。素粒子は命だ。これは仮説だが間違いではないと思う。素粒子は生きていると考えることで、初めて神道の考え方が生きてくると思う。ここにあるテーブルも命だと思い、空気も生命だと思い、万物は共に生きているということだ。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 浄土宗を開宗した法然さんの教えに「共生」がある。共生を「ともいき」と呼ばせた。音読みを訓読みに変えるだけで一つの概念が発生する  立場を超えて、共に生きよう。私とあなたは違う、考え方も違う。やっていることもやりたいことも違う。でも共に生きよう。 
 生き方の形としてあるべき姿は二種類しかない。ひとつは、愛と友情からの一体化していく同調・仲間関係である。もうひとつは上司と部下、ヒエラルヒーのある上下関係である。人間関係は、仲間になるか、上下関係になるかの二種類で、それ以外としては敵か無関係しかない。敵も無関係もあるべき姿ではないので、生きていける姿はイコールと上下関係しかない。 
 私とあなたが腹を割って、とことん本音で語りあって、愛せなかったり、友にもなれなかったら、結局、意見は一致せず、敵となる。上下関係でいやいや譲れば、その人の主義・主張のなかに入るしかない。人間関係はイコールか上下関係しかないとすると、これはシステムエラーだ。 
 あなたが嫌いでもあなたが生きていることを許そう、そして僕も一緒に生きよう  これが共生、「ともいき」である。「ともいき」は同意ではない。私とあなたは違うけれど、殺し合いするほどのことでもないし、ただ譲り合って、一緒に生きようというものだ。 
 これが神道である。なぜなら、意見が合わないあなたは生命体だし、あなたを好きだろうと嫌いだろうと、同じ生命体である。その一点において、対等な立場だからだ。 
 モノは生きている、命あるものも生きている、空気も生きている、光も生きている。だから話せば分かる。すべての存在は意思を持って考えているのだから。 
 モノ、物質の外に広がる気のエネルギーはオーラになっている。例えば、ペンがあり、ここに素粒子が広がっている。それは存在の命のエネルギーであり、命が漏れている。そういう思いで万物を意識してみる。そして、「お前はいい子だな」、「ありがとう」、「きれいだね」と語りかけてあげる。全部にエエカッコしいで毎日話しかけていくと、このモノたちが私と友だちになっていく。自分の命は外の命に広がり、ともに接触している意識を持つ。メガネとか時計とか、携帯電話とか、あなたの身近かで使っているものに友だちの感覚で接するのだ。  
 これを練習することで、初めて言霊というエネルギーが発生する。言霊は物質世界に繋がらないとただの意識エネルギーになってしまう。そして言霊は人を純粋な存在に高め、いわゆる仏教の悟りの状態に近づけてくれる。ただその時あなたは、悟りに近づきたいという自分の心と下世話な世界に生きている自分が分裂するはずだ。するとあなたは、自分の中でこの悟りをトップにしたピラミッドの階層構造に陥るか、無理やり統合させようとするかの二つのコンセプトしかなくなる。それじゃまずい。ある時は下世話なエロオヤジでいい、ある時は聖者でいい。普段は普通に暮らして、稼いで、生活する一般の人でいい。そしていざという時、超能力を使い、念力を使い、神を降ろし、奇跡を起こせばいいのだ。 

 共生きをこういう意味で使うーーあの世とこの世の世界を共に生きる、我と世界を共に生きる、我と他人を共に生きる。自分のなかの高次元と自分のなかの物質的な低い世界を共に否定せず、両方抱え込んで、相互に交流しながら、命の高まりとしてしっかりと生きていくのだ。それをぼくらは神道だと考えている。神様とこの世界の新しい関わり方だ(後半に続く)。

<文責:山崎佐弓> 

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